■ ケガの応急処置「POLICE」とは?
~RICEから進化した、現代の応急処置法~
スポーツや日常生活で起こる捻挫・打撲・筋肉の損傷などの急性外傷では、「ケガをした直後にどう対応するか」が、その後の回復スピードや後遺症の有無に大きく関わります。
これまで応急処置の基本とされてきたのは、RICE(Rest, Ice, Compression, Elevation)でした。しかし近年、「完全な安静(Rest)」が必ずしも最適ではないことがわかってきました。
そこで登場したのが、POLICEという新しい考え方です。
🔄 なぜ「RICE」から「POLICE」に変わったのか?
以前は、「ケガをしたらまずは安静に」という考え方が主流でした(RICEの”R”=Rest)。
しかし、研究が進む中で、完全な安静を長く続けると、筋力の低下や関節の固まり(拘縮)、回復の遅れなどを引き起こす可能性があることが分かってきました。
そのため、ケガを悪化させない範囲で早期に動かす(=適度な負荷をかける)ことで、
・血流の促進
・筋力や柔軟性の維持
・回復までの時間短縮
などが期待できるとされ、RICEに代わってPOLICEが提唱されるようになったのです。
🩹 POLICEの5つの原則
🔷 P:Protect(保護)
ケガをした部位を悪化させないように守ることが最優先です。
・サポーターや包帯で固定する
・痛みが強い場合は松葉杖などを使う
・無理に動かさず、安静な姿勢を保つ
これにより、損傷の拡大や新たな外傷を防ぎ、炎症を抑える効果が期待できます。
テーピングがなければサポーターでもOK!
🔷 OL:Optimal Loading(適度な負荷)
以前の「Rest」に代わり、POLICEでは「Optimal Loading」が取り入れられました。
これは、ケガの状態を見ながら、少しずつ無理のない範囲で動かすことを意味します。
たとえば:
・痛みのない範囲で関節を軽く動かす
・重心をかけすぎないよう注意しながら歩く
・専門家の指導のもとで軽い運動を再開する
完全に動かさないよりも、回復を早め、再発を防ぐとされています。
🔷 I:Ice(冷却)
ケガ直後は、腫れや痛みを抑えるために冷却(アイシング)を行います。
・氷のうやビニール袋に氷をいれて患部にあてる
・1回15-20分程度を目安に、1~2時間おきに繰り返す
冷やすことで血管が収縮し、炎症・内出血・痛みの広がりを抑えます。
アイシングを続けると冷たい→痛い→ピリピリする→何も感じなくなる、と感覚の変化がありますが、効果を最大限に活かすには何も感じなくなるところまで行う必要があるため、しっかりと氷を患部に巻きつけてください。ただし凍傷のリスクもあるため、上記のとおり15−20分を目安に使用してください。
氷のうを作って、広い面を冷やせるようにするとより良いです
🔷 C:Compression(圧迫)
包帯やテーピングでやさしく圧迫することで、内出血や腫れを抑える効果があります。
・圧が強すぎると血流を妨げるため注意が必要
・足先や指先の色、冷たさ、しびれなどを確認
・数時間ごとに巻き直しを行うとより安全
適切な圧迫により、腫れの進行を防ぎ、回復を助けます。
受傷直後は、冷やしながら圧迫するのがおすすめです
🔷 E:Elevation(挙上)
患部を心臓より高い位置に上げることで、腫れを抑えることができます。
・足のケガならクッションなどを使って足を高く
・手のケガなら腕を台や枕に乗せる
重力によって血液やリンパ液の滞留を防ぎ、炎症やむくみの軽減につながります。
✅ まとめ:POLICEは「守りながら、動かす」新しい処置法
「POLICE」は、ケガの部位を守りつつ、過度な安静を避け、回復に向けた適度な刺激を加えることで、再発を防ぎながら早期復帰を目指す考え方です。
ケガをした直後の対応が、その後の回復に大きく影響します。
もしケガをしたら、まずはこのPOLICEの原則に従って応急処置を行い、できるだけ早く医療機関で診断を受けましょう。
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